はじめに
せっかくパワースポットの旅として神社を訪れても鳥居は素通り、本殿にお参りもしない。これでは「パワー」などもらえるわけがありません。ここでは手水やお賽銭、そして「二拝二拍手一拝」など基本的な参拝マナー、そして神様へのお願い事のコツについてまとめてみました。


【1】服装はどうする、参拝の心得とは

1-1.神社は神域、観光地ではありません

神社は神様が祀られている神聖なる場所です、ただし一般的な参拝においては気楽に訪れることができ、迷惑行為でもしない限りふるまいも自由です。しかし、パワースポットブームの影響もありここには「参拝客」ではなく「観光客」も多く見られます。





でも、もちろんあなたは参拝者ですね!鳥居をくぐればそこは「神域」です。神さまの前に進みでるといった真摯な気持ちが必要なことはおわかりのことでしょう。

1-2.服装は常識の範囲で選びましょう

服装については「白い服装が適している」といった話もありますが「一般的な参拝」であれば自由です。しかし心がこもっていればどんな格好でもいいわけでもありません。礼節を心がけ「常識の範囲」で選ぶことでしょうか。カジュアルでもいいのですが、あまり肌を露出されたり奇抜な格好は避けましょう。また大切なお願い事をしたい時などはそれなりに身なりを正すことも必要です。

1-3.出雲大社「平成の大遷宮」における服装制限

ちなみに平成20年の出雲大社「平成の大遷宮」では本殿の特別拝観が行われました。最も神聖な所につきこの時は拝観者にこのような服装の制限がありました。

襟・袖付シャツ、長ズボン、スカート、和装、靴等を厳守する。ただしTシャツ、ジーンズ、ジャージ、短パン、カーゴパンツ、短いスカート、スパッツ、作業着、サンダル、ミュール等は不可。

このように特別拝観などには服装制限が設けられ、これに反した場合は拝観を拒否されることもあります。特別な期間における参拝には、服装に関する事前注意のチェックも必要です。



【2】鳥居のくぐり方、なぜお辞儀が必要か

2-1.俗世間との境界線です

神社と言えばその入り口にあるのが鳥居です。どんな神社であれここが玄関口、俗世間との境界線であり、本来はむやみに立ち入ることは禁じられている場所なのです。ここから先は神さまの領域、鳥居をくぐる時には必ずお辞儀をするのはそのためです。





「こんにちは、詣でに参りました」そんな気持ちを込めて、頭を下げてから足を踏み入れましょう。もちろんお帰りになる時も同じです。

2-2.このお辞儀のことを一揖(いちゆう)といいます

ちなみにこの礼、お辞儀のことを一揖(いちゆう)といいます、一の鳥居、二の鳥居などがある大きな神社では鳥居ごとにこの一揖してから入りましょう。また鳥居の左端からくぐる時は左足から、右端からくぐる時は右足からともいわれています。これは神さまから見て、あなたのお尻が外側に向くよう配慮しましょうといった意味です。(あまり気にしなくてもいいのですが)

2-3.「拝」と「揖」、神様へのお辞儀は二種類あります

一揖(いちゆう)の話ついでに神様へのお辞儀について覚えておきましょう、お辞儀は二種類あります。まずは「拝(はい)」、これは最もていねいなお辞儀です。腰を深々と折りおよそ3秒間かけ行います、「ニ拝二拍手一拝」の時にはこのお辞儀をします。そしてもう一つが「揖(ゆう)」です、会釈と思えばいいのでしょうか。腰を折る角度を拝が90度とすれば揖は15~45度くらい、時間も1~2秒。そのていねいさから「小揖(しょうゆう)」と「深揖(しんゆう)」に分かれます。



【3】境内の歩き方、真ん中を歩いてはいけない理由

3-1.中央は神さまの通り道、正中といいます

鳥居をくぐれば参道です。ここでまず気を付けたいことがあるのですが、おわかりですか。それは真ん中を歩いてはいけないこと!参道の中央は神さまの通り道、正中(せいちゅう)といいます。





ただどの神社へ行ってもこの正中を堂々と歩く方がいます、もちろん悪気などはなく知らないだけなのでしょうが。でも注意書きがある場合は必ず従ってもらいたいものですね。

3-2.伊勢神宮では外宮は左、内宮は右側通行

それから参道においては「左側通行が通常である」という説もあります。とにかく真ん中を歩くことは慎みたいマナーの一つ、また大声で話したり走ったり観光気分ではしゃぐのもいけません、ゆっくりと歩きましょう。ちなみに伊勢神宮の場合、外宮(げくう)は左側通行、そして内宮(ないくう)は右側通行と歩き方も違うそうです。

3-3.参道にはなぜ玉砂利が敷かれているのですか

神社には砂利(じゃり)が敷かれていますね、これにも理由があるようです。神社ではこの砂利を「玉砂利」と言います、そして玉とは「たましい(魂)」と「美しい」、「大切なもの」という意味もあるのだとか。神聖なる場所を清浄に保つため、また歩くときにザッザッと踏む音が邪(よこしま)な気を寄せ付けず身を清めてくれるから、そんな理由があるようです。



【4】手水舎!手の洗い方について

4-1.基本となる作法と手順があります

お参りの前に忘れてはいけないのが手水舎(ちょうずや)で両手と口を洗い清めること、手水舎は鳥居をくぐり参道を歩けば目にすることが出来ます。四方が吹き流しとなっている手水舎に、水盤が据え付けられ柄杓が置かれています。





本来は聖域を訪れる際、周辺を流れる川やわき水で身を清めたことが起源であり、基本となる作法と手順があります。決して難しいことはないのですが、いざとなった時あわてないためにもしっかり覚えてください。

4-2.手水の作法、お水を汲むのは一杯だけです

神前に進む前にここで穢れを払うことが目的、心身を清める意味でも最低限のマナーです。では順を追って解説しますが、基本的に最初に柄杓に汲んだ一杯の水ですべての作法を執り行いますので注意してください。

  1. まず初めに右手で柄杓を持ち水を汲み、左手を洗います。この時は指先というより手のひらにかける要領で。
  2. つぎに柄杓を左手に持ち替え右手を清めます。
  3. こんどはまた柄杓を右手に持ち、左手のひらに水を注ぎ、口に含み音を立てずすすぎます。この時柄杓に直接口をつけるのはもってのほか!また口に含んだ水を飲んでしまうのもダメ。口の中をすすいだら左手で口元を隠しながらそっと下に吐き出します。この時は間違っても水盤に吐き出してはいけません!
  4. 最後に再び左手を少しだけ洗い流したら柄杓を両手で立てて持ち、残った水で柄の部分を洗い流します。そして柄杓をもとの位置に静かに戻しましょう。

これを最初に汲んだ一杯の水で行うのですが、途中でもし水がなくなったら終わりではなくもう一度汲めばいいだけの話です。また濡れた手はハンカチやタオルでしっかりと拭き取りましょう、面倒だからと言って、パッパッと振っておしまいではせっかく清めた意味もありません。そして心身を清めたらいよいよ拝殿・正殿への参拝です。



【5】お賽銭と「二拝二拍手一拝」拝礼の作法とは

5-1.神様が居るところが「本殿」、参拝は「拝殿」で行います

さて拝礼の作法ですね。ちなみにお賽銭を入れ、手を打ち、祈りをささげる場所、神様に参拝をするところが「拝殿」です。そして神様がおられるところが「本殿」です。一般的な神社の構成においては、拝殿の奥に本殿が位置しています。またその背後には神々が宿る鎮守の森が残されている場合が多く見られます。ただし拝殿や本殿がない神社もあったりします。

5-2.お賽銭の相場はいくらですか

拝殿に進んだらまずはお賽銭を賽銭箱に納め鈴を鳴らします。賽銭は神さまへの捧げもの、鈴は神さまの注意を喚起するといった意味です。そしてここで悩むのがお賽銭の相場ですね。これについては「いくらでもいい」のではないでしょうか。また、

  • 10円は「とおえん」と読み「遠縁」につきダメ、10円を入れるくらいなら「ご縁」がありますようにと5円を選んだ方がよし。
  • 「いい」にからめ11円、いつも(始終)縁がありますようにと45円。

など都市伝説のような話もあります。ただ入れた分だけ利益があるわけでもありません、要はあなたの心の表れです。金額にこだわるのではなく気持ちや心をお納めしましょう。

5-3.鈴を鳴らす理由とは

鈴を鳴らす理由は繰り返しますが神さまの注意を喚起するといった意味、「お参りに来ました」とお知らせするためです。また神さまをお招きする儀礼を簡略化したものともいわれています。





となりに手を合わせている方がいたりすると、ついつい遠慮しがちですね。でもここはしっかり鳴らすことがポイントです!そうしないと神さまには届きませんよ。

5-4.「二拝二拍手一拝」

さて、いよいよ拝礼、クライマックスですね。「二拝二拍手一拝」、これは二度頭を下げ、二度手を打ったら手を合わせ祈念、そして最後に一礼をするといった流れです。こう書いてみると簡単ではあるのですが、いざ本番となるとどうでしょう。では順を追って解説します。

  1. 神前に進んだら一礼、鈴をしっかりと鳴らし賽銭を入れます。
  2. つぎに直立の姿勢のまま、深くお辞儀を二回行います(二拝ですね)
  3. 胸の高さで二度拍手を打ちます(二拍手)。この時は鈴と同じ、神さまにご降臨願うのです。となりの方が神妙に拝んでいようが、しっかりと大きく音を出しましょう。
  4. この拍手の時には右手を少し下げ、左手が上になるようにすることがポイント!左手は神さまを表すからです。また両手の指の節が合うと「不幸せ」といった話もありますね。
  5. つぎに胸の高さで両手を合わせ祈念します。
  6. 最後に一例をして終わりです。「今後ともよろしく見守りください」といった一言を忘れずに。

以上が一般的な参拝の作法です、ただし神社によっては多少作法の変わる所もありますので事前に調べておきましょう。慣れも必要ですが美しい日本の作法です、一連の所作はゆっくり心を込め行いましょう。

参拝の仕方については「二拝二拍手一拝」が基本ですが、出雲大社では「二拝四拍手一礼」となります。




【6】神さまへのお願い事にもコツがあります

6-1.「苦しい時(だけ)の神頼み」も考えもの

さて、神社を訪れた理由、それはあなたの願い事を神様に聞いてもらうこと。ここが最も大事なポイントです、あなたなら何を願いますか。しかし普段は無関心なのに困った時だけ神様を頼るのも考えもの。ピンチに陥ったときに限って「おお神よ」などとすがったところ身勝手でムシがよすぎませんか。「苦しい時(だけ)の神頼み」は考えものです。

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6-2.ステキな彼氏とめぐり会い、結婚できますように

解説書などには「個人的なことよりも、世のため人のためを祈願すべし」などと書かれたものもあります。でも現実問題として「ステキな彼氏とめぐり会い、結婚できますように」であり、個人的な切実な思いを神さまにすがりつきたくなるわけです。もちろん神様だってこういった事情を、きっとわかっているはずではないでしょうか、でも・・・。

6-3.神様が一番嫌うお願い事は何だと思いますか

ではお願い事のコツについて、順を追って解説してみます・・・。

  • まず願う前に「私は○○に住む○○」と申します、と自己紹介をします。そして「いつもお力添えをいただき、ありがとうございます」など、日ごろの感謝の気持ちを念じましょう。お願い事は自己紹介とあいさつが済んでからです。
  • つぎに本題となるのですが、神様が一番嫌うお願い事は何だと思いますか、それは「幸せにしてください」なのだそうです。わかりますか。神さまもそんなに甘くはないのですね、何もせず「うまくいきますように」と棚ボタ式に神様を頼ったところ成就することはないのです。
  • 正しいお願い事とは、あなたの願望や目標を掲げ、そしてその達成ための具体的な行動を誓い、お導きを願うことです。「私は今日から○○のために、○○をします!どうかお見守りください」でいいのです。
  • 「ステキな彼氏とめぐり会い、結婚できますように」と願うのなら、そのためにあなたは何をしますか、ここがポイントです。神様だってトンチンカンでも必死に何かをしている人間を助けたくなるはずです、これは人情にも通じます。
  • そしてそのためのお力添え、チャンスや勇気を与えてもらえるよう願えばいいのです。
こう考えてみると人間世界と変りはありませんね。するとこここで一つの結論が得られます、運を呼び込みたければ漠然としたムシのいい願望などではなく、なりたい自分やハッキリと具体的な理想像をまず描き「行動・実践」をすることです。そして神様に努力を認めてもらいましょう!




【7】さいごに

神社参拝のマナーはここまでとします。なんとかしたいと頑張る姿、そんな前向きなあなただから「神様は見守りお力添えをしてくれる」ここがポイントであり、願い事のコツとなることをぜひ覚えてください。また、一生懸命に何かに取り組んでいる人に手を差し向けてくれるのは、神さまだけではないこともお忘れなく!



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