私が彼を好き過ぎたから
【告白】当時20歳、さくらさんより。あれほど失いたくなくて、私という存在なんかどうでもいいほど好きなのに、付き合うのが怖いから付き合えなかった、そんな経験はこの時だけです。


1.頼りがいのある人なんだ

当時、私は居酒屋さんでバイトをしていたのですが常連のお客さんと合コンを行うことになったのです。全部で10人くらい集まったのですがその中にいたのが彼でした。





私は人見知りが激しく、特に初対面の方とお話をすることがとても苦手でした。でもたまたま彼が口にした「ドラえもん」の話がきっかけで、彼と一気に話が盛りあがったのでした。


というのも私はドラえもんについては一家言というのか持論をもっていました。しかし進んで人に話すことなどなかったのです。でも彼には違いました。


私の話の要点を捉え、そして気の利いた一言を返してくれるんです。私はいつになく饒舌で、お酒の勢いも手伝い彼とは意気投合!聞けば彼も私と同じ20歳でした。


それからこの時の合コンなのですが、お開きになる前に私の友達が少し酔った勢いで「会計は男性が払って!!」と言ってしまったんです。


一瞬悪い空気が漂ったのですが、彼は財布を自ら取り出し「ええで、俺らで払えばいいじゃん」とサラッと雰囲気を変えてくれました。


面白いだけじゃなくて頼りがいのある人なんだ、私はますます彼に惹かれました。

2.俺もさくらと楽しかった

結局会計の方は男性側に少し多めに払ってもらい、残りは女性たちでワリカンとなりお店を出たのでした。


その後はそれぞれ気の合う人と連絡交換して解散だったので、私も彼に連絡先を聞き帰りました。


私は家に帰りすぐに彼にメールを入れたのですが、彼からの返事はなく、「これはダメだったかなぁ~」と落ち込む日々を送っていたのです。


でも、一週間後に彼から連絡が来たのです!
内容はとてもシンプルで、
「俺もさくらと楽しかった」
たったこれだけでした、が飛び跳ねるくらい嬉しかったのでした。


その後も私からメールを送る、そして彼からは数日後に返事が返ってくる。まるで昔の文通のようなやり取りが続きました。

3.たったこの一言が嬉しくて

ただ彼からのメールはだいたい
「起きた、ねむい」
「腹減った、これからメシ」
「今テレビ見てる」
など、素っ気ないと言えばいいのか。正直私のことをどう思っているのかさっぱりわかりません。ただ不思議なもので、彼への思いはどんどん膨らんでいったのです。





それからしばらくして二人で会うことになりました。私はもう楽しさやドキドキがごちゃごちゃでした。


居酒屋さんで過ごしたのですが、彼はメールの時とは違いとても話し上手です。仕事のことや食べ物や趣味など、会話も弾むと彼に対する「好き」の気持ちが抑えられなくなってしまいました。


だから私は、彼女がいるのか聞いてみたのです。


すると彼は、
「彼女じゃないけど、そんな感じの人はいる」
と。たとえ「そんな感じ」でも彼女の存在がショックでした。


そして言いようのない嫉妬心から、
「わ、私は!貴方の事が気になる。私を見て欲しくなる」
と告白しました。


彼は、
「うん、俺もさくらが気になる」
「あの合コンの時、いい子だなって」


別に好きとも言われてないのに。たったこの一言が嬉しくて、嬉しくて、彼に認めてもらったような気持ちになって舞い上がった私でした。

4.新鮮で刺激的な恋でした

でも、その後は中途半端な関係を選んでしまいました。私が彼を好き過ぎたから、「彼を失いたくない」との思いからのことでした。


やがて私に彼氏が、彼にも彼女が出来ました。でも繋がりは切り切れなかった、6年くらい続いたのです。彼にだって、きっと私への未練があったはずです。でもお互いの20代の終わりが近づくと共に、自然と薄れ消えていきました。


あれほど失いたくなくて、私という存在なんかどうでもいいほど好きなのに、付き合うのが怖いから付き合えなかった、そんな経験はこの時だけです。


彼を思うと不安で仕方なかったこと、彼の一字一句にドキドキしたり、うんと喜んだり、悲しくなったりした日々。幸せに包まれ安心して穏やかに育む恋とは違うもの、新鮮で刺激的な恋でした。



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