私だけが出世から取り残され
【手相】40代会社員、ちせさんより。仕事に悩んでいたのです。恋愛なんてぜんぜん興味もないし、ただ仕事と私の時間を最優先に生きていたのです。私は「こりゃハズれたわ」とため息をついたのですが。


1.正直言って理不尽でした

3年前の春のことです。新年度を迎え昇格発表があったのですが、輝かしい何人の中には同期入社の彼女たちの名前もありました。そして私だけが出世から取り残されたのです。





もちろん彼女たちは仕事だけでなく人間的にも優秀なので認められるのも自然なことです。入社以来ずっと仲の良い彼女たちの活躍は嬉しかった、でも本音を言えば妬みもありました。


素直に受け入れられない醜い自分もいたのです。


私だって決して引けを取らないのだから、正直言って理不尽でした。あ~あ、なんでこんなにうまくいかないのだろう、なんでこんなにつまらないのだろう。


3年前の春はそんな憂鬱でどこか投げやりな春でした。そんなある日のこと、髪を切った帰り道に目に入ったのが占いの館の看板でした。

2.誰かが隣にいると安定するのよ

いつもなら素通りするはずでした。でもやり切れない私はお財布の中身を確認すると、まるで吸い込まれるように足を踏み入れてみたのです。


占い経験は今まで何回かありましたが、この館は初めてでした。ただ私の場合、占術は四柱推命・手相・姓名判断・霊視のどれかと決めています。


ここでお世話になったのは50歳くらいの女性の先生でした。薄い緑のワンピース、とても清潔な感じの方でした。個室でしたが照明は落してありテーブルの上には光沢のある黒いレースのテーブルクロス、そしてお皿に塩が盛られていました。


そして私が椅子に座るなり占い師はこう言いました。


「年内、この冬に恋人が出来るから、そうなればあなた安定するわよ」


まだ挨拶も交わさず、なんの相談もしていないのに突然こう切り出されたのです。私もどう対応してよいのかわからずキョトンとしているとさらにこう続けました。


「あなたは誰かが隣にいると安定するのよ。詳しく見てあげるわね」


と言うなり私の手相をしばらく見るや、私の性格や生い立ちについてあれこれ話し出したのです。

3.こりゃハズれたわ

私は仕事運について聞きたかったのです。話の途中であったのですが「あの、今仕事のことで悩んでいるのですが」と伝えると、今度はこうです。


「あなたに必要なのは落ち着ける人なんですよ」


要するに彼氏のことですね。ただこの時の私は恋愛などにはぜんぜん興味もなく、仕事と私の時間を最優先に生きていたのです。私は内心「こりゃハズれたわ」と思いため息をつきました。


鑑定時間は30分でたしか5000円でした。暇つぶしにはなったけど、ずいぶん高くつきました。でも私の生い立ちについてはよく当たっていました、正直って怖かった。


でも、もっと怖かったのはその後の話でした。まさにその年の冬、趣味のオンラインゲームで知り合った男性から告白されお付き合いするようになったことです。あの時に占い師からハッキリ言われたのですから。

4.まさかの恋愛でした

あれから3年たちました。彼氏はとても真面目で頼れる人です。まさかの恋愛でした、でもそれからの私はまさに安定そのものです。





今でもあの時の占いを思い出します。幸せになる道はいく通りもあるんだな、でも自分では気づいてはいないことばかり。あの時占いに教えてもらったんだ、そう思っています。

ただし仕事では相変わらず昇格はしていません(笑)、でも私は今とても幸せです。



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