1.先生と生徒の関係でした
3年ほどの話です。私は子供のころからどうしても覚えたかった楽器があったのですが、思い切って始めてみたのです。
ただもう25歳を過ぎていました。学生時代ならともかく、この年では楽器を始めるには遅いかな、と思いお金はかかりますが個人レッスンを受けることにしたのでした。
彼は私を担当してくれた先生であり、年は40歳でした。
レッスン中は二人っきりの空間です。先生はとっても優しく教えてくれるのです。分からないことがあっても、覚えるのが遅くても、それはていねいに指導をしてくれました。
そんな先生のおかげもあってか三日坊主にもならず、レッスンも丸一年が経ったときでした。
このころになると先生と生徒の関係でも、ずいぶんと打ち解けお互いのプライベートなことも話すような間柄になっていたのです。
特にお互い映画鑑賞の趣味があることがわかってからは、レッスンの合間になると新作映画の意見交換などで楽しく盛り上がるようになりました。
そしてある日、
「チケットが二枚手に入ったのですが、一緒に行きませんか?」
と先生に誘われたのでした。
2.手をつないでもいいですか
私には主人もいます。かなり迷ったのですが「まあ映画見るだけだし」とOKしてしまいました。本音を言えば、いつしか先生のことを好きになっていたのです。
当日は駅で待ち合わせをしました。恋愛映画を観たのですが、たまにジュースを取るときなど手が触れ合ったりして、まるで学生の頃のようにドキドキしていました。
映画館を出ると外はすっかり暗くなっていました。どこかで軽く夕飯をとなったのですが、歩いていると先生が
「手をつないでもいいですか?」
と聞いてきたのです。
私は無言で、そして自分から先生の手のひらに私の小さな手を重ねました。
先生が好きだったからです。
手をつないだだけでした。
たったこれだけのことだったのですが、私たちの関係は一気に変わってしまいました。
夕食後LINEを交換してからは、毎日のように先生からメッセージがありました。
レッスンは続けていましたので、教室に行けば誰にも邪魔されることもなく、二人きりで過ごすことができました。
彼はいつも優しく私は幸せでした。そのまま男と女の関係を持つようになり、さらに一年が過ぎたのですが・・・。
3.いくら私がもがいても
私は別れを告げました。
大好きな彼だったのに。
理由は一つです、
彼といても未来が見えないから。
当たり前の話ですね。
彼には帰る場所があるのです。いくら私がもがいても、私はただの不倫相手でしかないのです。
私は彼の子供を産みたかったんです、でも現実は辛いものでした。別れを選んだことに後悔はありません。もちろんレッスンもやめました。あんなに楽しかった楽器なのに、もう手にすることもないでしょう。
4.自分を大切にしなければ
別れてからしばらくの間、彼からSNSに「いいね!」をされたりしていたんですよ。未練たらしい男ですね。
そして彼からの連絡も徐々になくなり、やがて途絶えました。
やっぱり自分を大切にしなければダメですね。ちゃんと未来を考えることって大切なんですね。
スポンサーリンク
あわせてどうぞ!
スポンサーリンク