斗柄の動きと十二支を配した方位
十二直はとても歴史のあるものであり、暦注といえばこれを指すほどでした。吉凶やお日柄選びの指針とされてみたらいかがでしょうか。


【1】十二直とは何か

1-1.北斗七星の動きと十二支

十二直(じゅうにちょく)とは中国から伝わった日々の吉凶を占うものであり、

  • 十二客(じゅうにかく)
  • 十二建(じゅうにけん)

とも呼ばれています。また江戸時代の暦においては中段に記載されていたことから、

  • 中段(ちゅうだん)

とも言われています。

十二直とは一言で言えば北斗七星の動きを吉凶判断に用いたものです。





北斗七星は、柄杓の形をした柄に当たる部分(斗柄)が北極星を中心にして天球上を回転します。





十二直とは、この動きと十二支を配した方位とを結び付けることによって日の吉凶を占ったものです。

1-2.各月の「建」の日は

十二直とはその名の通り「建」から始まり「閉」までの十二の語が以下の順で循環します。

  • 建(たつ)
  • 徐(のぞく)
  • 満(みつ)
  • 平(たいら)
  • 定(さだん)
  • 執(とる)
  • 破(やぶる)
  • 危(あやう)
  • 成(なる)
  • 納(おさん)
  • 開(ひらく)
  • 閉(とず)

この通り、始まりは建(たつ)です。斗柄(とえい)が真北に向くのが冬至の頃、旧暦における11月です。そこで旧暦11月、二十四節気における大雪(たいせつ)の後、最初の子の日が建と定められました。





したがって一年における各月の建の日はこうなります。

11月大雪後の最初の「子」の日
12月小寒後の最初の「丑」の日
1月立春後の最初の「寅」の日
2月啓蟄後の最初の「卯」の日
3月清明後の最初の「辰」の日
4月立夏後の最初の「巳」の日
5月芒種後の最初の「午」の日
6月小暑後の最初の「未」の日
7月立秋後の最初の「申」の日
8月白露後の最初の「酉」の日
9月寒露後の最初の「戌」の日
10月立冬後の最初の「亥」の日



ただここで一つ注意しなければならないのは、いずれも「節切り」の月ということです。節切りは暦注の日取りなどに使われるものです、ついでなので次に簡単に説明をします。



【2】月切りと節切り

旧暦の時代には、一か月の数え方が、

  • 月切り:一般的な暦のひと月
  • 節切り:暦注の日取りに使用

この二通りありました。まずその違いを簡単に説明します。

2-1.月切とは

暦月とも言われますが、旧暦の一日から月末までをもって一か月とするものです。朔日(ついたち)から晦日(みそか)までですね。新月から満月を経てふたたび新月がくるまで、朔望月の一か月のことです。




2-2.節切りとは

二十四節気の節気の日より始まり中気をはさみ、次の節気の前日までをもって一か月とするものです。こちらは節月ともよばれます。したがって一年間はこのようになります。

1月立春から啓蟄の前日まで
2月啓蟄から清明の前日まで
3月清明から立夏の前日まで
4月立夏から芒種の前日まで
5月芒種から小暑の前日まで
6月小暑から立秋の前日まで
7月立秋から白露の前日まで
8月白露から寒露の前日まで
9月寒露から立冬の前日まで
10月立冬から大雪の前日まで
11月大雪から小寒の前日まで
12月小寒から立春の前日まで



ちなみに2023年度の二十四節気の日付はこのようになります。





節切における1月は新暦における2月4日から3月5日までとなるわけです。わかりますか。



【3】十二直の吉凶

3-1.文字が暗示するもの

ではここで十二直の吉凶についてまとめてみます。

建(たつ)
吉凶:◎
物事が生じる日、新しいことを始めるのには最適の日です。ただし土を動かすことは凶となります。

  • 吉事:結婚・開店・旅行
  • 凶事:土木工事・庭や植木いじり
除(のぞく)
吉凶:△
悪しきものを除ける日。物を捨てる、大掃除にはピッタリ。ただし土を動かすことや結婚・旅行は凶となります。

  • 吉事:掃除・種まき・治療
  • 凶事:結婚・旅行
満(みつ)
吉凶:◎
万物が満ち溢れる日!結婚・旅行、引っ越しなどすべて吉です。ただし土を動かすことや結薬の服用は凶となります。

  • 吉事:結婚・引っ越し・建築
  • 凶事:薬の服用
平(たいら)
吉凶:△
よくも悪くも物事が平和に平らに収まる日、アドバイスを受けるによい日です。地固めや祝い事は凶です。

  • 吉事:相談事・結婚
  • 凶事:種まき・穴掘り
定(さだん)
吉凶:〇
物事が定まる日、雇用・結婚や土を動かすにはよい日です。ただし旅行や訴訟を起こすことは凶です。

  • 吉事:結婚・種まき・売り買い
  • 凶事:訴訟・旅行
執(とる)
吉凶:△
物事を執り行う日、結婚や祝い事には吉。ただし金銭の出し入れや旅行、引っ越しは凶です。。

  • 吉事:結婚・建築・祝い事
  • 凶事:財産整理・旅行・引っ越し
破(やぶる)
吉凶:×
突破できる、訴訟や裁判は吉。また薬を服用するにもよい日。一方結婚や祝い事は破れる・傷つくとされ凶、

  • 吉事:訴訟や裁判
  • 凶事:結婚・祝い事・決め事
危(あやう)
吉凶:×
危険が暗示されています、何ごとも自重することがベスト。また高い所にも気を付けるべし。神を祀ることは吉。

  • 吉事:神事・酒造り
  • 凶事:旅行・高所・乗船
成(なる)
吉凶:◎
物事が成就される日、新しいことを行うにも吉。ただし争いごとについては凶。

  • 吉事:交渉・結婚・庭や植木いじり
  • 凶事:訴訟・争いごと
納(おさん)
吉凶:△
万事が納まる、取り納められる日。収納や買い物にはよい日。葬儀や旅行、鍼灸には向きません。

  • 吉事:買い物・婚礼・引っ越し
  • 凶事:葬儀・鍼灸治療
開(ひらく)
吉凶:◎
立ちはばかる扉がとき開かれ、道が開かれる吉日!ただし葬儀や不浄なことは凶。

  • 吉事:習い事・結婚・引っ越し
  • 凶事:葬儀
閉(とず)
吉凶:×
物事が閉じ込められる日、新しいことを始めるには凶。ただし収納・ふさぐ・埋めるなど閉ざすものは吉。

  • 吉事:埋める・収納
  • 凶事:結婚・開店


暦によっては解釈の仕方は多少異なりますが、大雑把に分ければ、

  • 吉◎=建・満・成・開
  • 中小吉〇△=徐・平・定・執・納
  • 凶×=破・危・閉

このようにまとまりますね。



【4】暦注といえばこれでした

4-1.具注暦にも記載されています

以上簡単ではありますが十二直についてまとめてみました。仏滅や大安を表わした六曜によく似たものですね。





ただ六曜が江戸になってから広がったものであるのに対し、こちらは日本の朝廷の陰陽寮が作成し頒布していた暦である「具注暦(ぐちゅうれき)」にも記載されてもいます。


十二直とはとても歴史のあるものであり、暦注といえばこれを指すほどだったそうです。今でも運勢歴を見れば記載されています。吉凶やお日柄選びの指針とされてみたらいかがでしょうか。



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