1.どうせ占いなんか
若かったころ海外で暮らしておりました。そんなある日、ホームパーティーに参加した時の話です。パーティーとはいっても集まるのは少人数でいつものメンバーです、でもその日はメンバーの一人が若い男性を連れてきました。
場の雰囲気も盛り上がったところ、この若い男性を連れてきた方がこう言いました、「この人占いをするのよ、よく当たるから誰かやってもらったら」、そして結局私ともう一人が占ってもらうことになりました、二人とも日本人でした。
私は「わぁ~怖いなぁ」とは言いながら、どうせどうとでも取れるようなことか、当たり障りのないようなことを言われるだけだろうと高をくくっていたのです。そして、まず最初に私からお願いすることになりました。
2.本当のことを言いますか
まず聞かれたことは生年月日、血液型そして好きな動物でした。動物とは意外でした、さらに好きな色はなにか、今の色、過去の色はなにか、それはなぜか。・・・。
今の色・過去の色と言われても、私は深く考えずぱっと浮かんだ色をそれぞれ答えてみたのです。
すると彼はこんなことを聞いてきました、「本当のことを言いますか、やんわり言いますか、それとも言うのやめますか」と。
えっ?と思いつつも、しょせん占いでしょ、といった目で見ていたので「本当のことを言ってください」と答えました。
彼はじっと私の目を見ると「それではこれから過去・現在・未来についてお話します」と言いました。私はなぜか胸騒ぎを覚えました。
3.過去・現在・未来についてお話します
まず過去について、彼が口にしたのは私の家族のある出来事についてでした。それは私だけでなく家族の誰もが口を閉ざし封印されていること、一言でいえば黒歴史のことです。
彼も気を使ってか遠回しな言い方をしてくれましたが、私にとって絶対に触れられたくないことでした、絶対に彼には知るはずのないことだったのです。
そして現在については私の対人関係の悩みをズバリ言い当てました。
「彼は苦しいでしょう、でも、そのままでいい、待っていなさい、遠くの遠くにもう光が見えている」
何のことかわからないかと思いますが、私は凍り付くような思いでした。ちなみにその彼とは次に占ってもうもう一人の日本人のことです。
最後に未来について、これは将来私のパートナーとなる人のことでした。しかしこればかりは「そんなこと、ありえない」といった内容でした。
ただ過去と現在についての話があまりにも生々しかったこともあり、口には出しませんでしたが内心かなり真剣に否定をしました。
ちなみに、私の後に占われる予定だったもう一人の彼は、悪いけど僕には無理だといって占いをお断りしました。たぶん、怖くなったのだと思います。
4.もうこの人と一切かかわりたくない
彼は普段はカフェの経営をしており、紹介があった人のみの占いをしているそうです。ただその占いがあまりによく当たるのです。だから怖がる人が多いらしく「僕と普通に接してくれる人はパーティーに連れて来てくれた人を含め数えるくらいです」と言って笑っていました。
彼は見た目はごく普通の男の方です、でもいざ占いとなると恐怖の感覚とはまた別の、何か深い闇に引きずり込まれるような思いにさせられるのです。
こんな人が本当に存在するんですね。その後、彼にはもう一度だけ会いました、私もまだ若かったし、好奇心がそうさせてのでしょう、それは占いを断った彼が帰国した後のことです。
彼はぞっとするようなまなざしで私を見つめると、ふふふと笑い「ちょっと楽になったのですね」と言いました。
私はその時「ああ、やっぱり」と冷たい戦慄を覚えました、そしてもうこの人と一切かかわりたくないと思いました。彼は占い師というよりはサイキック(psychic)、きっと超能力者なのでしょう。
5.自分の未来を知って何になるのでしょう
Googlemapで確認してみましたが、彼のカフェは今もあります。
占い師とひと口にいってもその能力はピンからキリまであるのでしょう。中には詐欺師のような人間もいることでしょう。でも私は彼のように人間の能力を超越したパワーをもった方もいることを目の当たりにしたのでした。
私は今40歳です、結婚したのは6年前のことでした。そしてその相手はまさに彼が指摘した男と一致してしまいました。
「そんなこと、ありえない」と強く否定したはずなのに。人生には誰もがレールが敷かれており、その道をただ進むだけなのでしょうか。
あなたは占いを信じますか、でも自分の過去を見透かされたり変えようのない将来を聞かされたらどう思いますか。
未来に希望を持つのは勝手です、でも決まりきった自分の未来を知って何になるのでしょう、結局は占いの結果をどう受け留めるかなのでしょうか。
ただ私はあの時の占いを本当に後悔しています。
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